園長おすすめの絵本
子どもを取り巻く社会がどんな状況にあっても子ども達は常に前を向き成長を重ねていきます。
3,4,5歳の子ども達の心は真っ白です。1冊の絵本には絵本作家の心がいっぱいこめられていて、子ども達の心になにがしかの影響を与えることと思います。
また、絵本は知識を得るためではなく「楽しいな」という情感を持つこと、味わうこととしたほうがいいです。そして読むご両親も面白いなと、楽しんで読んであげてください。就寝前は、お疲れもあって大変かもしれませんが、この時期に大好きな絵本と出会えることを願い、次の3冊をご紹介します。
令和5年2月 理事長 加藤 博文
ちょっとだけまいご
作 クリス・ホートン 訳 木坂 涼 (BL出版)
「私たちは、自分のおかれている状況がなかなか見えない。正反対の状況と比べられなければ。また、自分がどんなに恵まれているか、失ってはじめてわかるのだ。」とは、ロビンソンクルーソーの中の言葉としてこの絵本の初めのページに書かれています。
突然、母親と離れ離れになった子どもフクロウが、母親を探しに出かけるお話です。母親を見失った子どもは、不安で、子どもを見失った母親も不安の心でいっぱいです。絵本では子どもと母親は再会できて、母親も子どももホッとします。
切り絵のように穏やかで、単純な表現で、全ての絵が淡く優しい色使いのため、静かな感性の育ちが期待される絵本の1冊かと思います。
夜に寝る前等おうちの方から読み聞かせてください。
おかあさん だいすきだよ
作絵 みやにし たつや (金の星社)
子ども達はどんなに叱られてもお母さんが大好きです。
でも、こんなお母さんだったら、もっともっと大好きになるんだけどなぁ、という絵本です。
子どもにとってお母さんは心のふるさとと言えます。友達や、先生との人間関係で嬉しい事、悲しい事、悔しい事、自慢したい事など、いろいろお母さんに聞いてもらいたい事が毎日いっぱいあります。
言葉で表現できない子は、身体表現で伝えます。子どもの心の動きをしっかり受け止めて、一緒に喜んだり、悔しがったりしてあげてください。
先日NHKのテレビで、親の『叱り』によって、子どもはドーパミンが出て、体がいたずらしたくなる、といっていました。叱っても叱ってもいたずらを繰り返す子どもは、強くしかるよりも、平常の声で「なぜいけない事かを説明する事」が良い事だと言っていました。
「おかあさんはね」I wish you more.
文:エイミー・クラウス・ローゼンタール
絵:トム・リヒテンヘルド
訳:高橋 久美子
(㈱マイクロマガジン社)
はじめて自分が親になった時、心の中ではいろいろな願いがいっぱい出てきます。何よりも『元気に健康ですくすくと育ってほしい』という事はほとんどだれもが願う事でしょう。他にも数えきれないほど願い事が出てきます。
そんな親の子どもに対する思いが、すっきりした絵画表現とことば少ない文字で描かれている絵本です。
中でも「いそがず ゆっくりと おとなに なりますように」は、私も心から同意します。
いま、何事にもスピードと競争が求められる社会で、子ども達を早く早くと促すよりも、その年齢をゆっくり、じっくり、豊かに過ごしていく事が良いと思います。
食事が体を成長させると同様に、絵本は心を成長させます。たくさんの本と触れ合えるといいですね。