ユタカ幼稚園

園長おすすめの絵本

 世界的に新型コロナウィルス大流行で外出が制限され、絵本などに親しむ時間が増えていると思います。
 久しぶりに6冊の絵本をご紹介します。子ども達に読み聞かせをしている時、つい感動して涙することがあります。不思議そうに見ている子、同じように目を潤ませる子いろいろです。絵本は子どものためだけではなく、大人にとっても楽しいものです。
 絵本選びには一般的に、出版後長く読み継がれてきたものが、ほぼ間違いないと思われます。勉強や知育を目的にするのではなく、読み手と子ども達が楽しく関わり合うことができる一つの道具みたいに考えています。
2020年5月  ユタカ幼稚園園長

おこだでませんように

おこだでませんように
作:くすのきしげのり 絵:石井聖岳 (小学館)

 家でも学校でもいつもおこられている「ぼく」のお話です。
 1年生なって覚えたひらがなで、七夕さまのたんざくに一字一字ていねいに心を込めて「おこだでませんように」と書いた。何度読んでもここのところで熱いものがこみ上げてきます。
 まいにち怒られてばかりのぼくは、本当はお母さんや先生に『ほめられたくてしかたないぼくなのに』という思いがあるのです。わかってもらえない、ぼくの思いが伝わらない、そんな悔しい思いの中でたんざくに書いたお星さまへの願いがかなうというお話です。この絵本は子ども達とともに育児中のおかあさんへ心をこめて一読されることをお勧めします。
 幼稚園・保育園の先生方も多分100%感動を覚える絵本です。

だるまちゃんとてんぐちゃん

だるまちゃんとてんぐちゃん
作・絵:かこさとし (福音館書店)

 深山に棲むという想像上の天狗と小さな達磨の絵本です。
 子どもの世界から見たら「大人は子どもの成れの果て」ともいえますね。そして子ども時代の自らの気づきというのは子どもにとって大変な「できごと」です。人生は「できごと」の連続です。
 だるまちゃんはてんぐちゃんの「うちわ」を見て自分もてんぐちゃんと同じような「うちわ」が欲しくなり、大きいだるまどんへ頼みます。だるまどんはたくさんの種類のうちわを見せますがその中には自分の欲しいものがなく、庭に生えていたてんぐのうちわによく似た、やつでの葉っぱを見つけます。てんぐちゃんは、やつでの葉っぱを見て「ずいぶんいいものみつけたね」といいます。
 だるまちゃんは続いて、てんぐちゃんの帽子、てんぐちゃんの履物など同じようなものが欲しいと大きいだるまどんに頼みますが、だるまどんが出してくれたものの中に自分の気に入ったものがひとつもありません。
 だるまちゃんが自ら気づくことができた、そして自ら選んだ「うちわ」「ぼうし」「はきもの」をとおしてだるまちゃんの個性が伝わってきます。だるまちゃんは自分をしっかり確かめて(自立心の形成)てんぐちゃんと仲よく遊ぼうとしています。
 この絵本の初版は1967年で私の見ているのは2003年110刷です。すごいですね。

いたいのいたいのとんでゆけ

いたいのいたいのとんでゆけ
作:新井悦子 絵:野村たかあき (すずき出版)

 山のふもとの小さな村に、さよとばあさまとふたりぼっちですんでおった。
ある冬の日、雪がたくさんふり、ばあさまはやねのゆきおろしだ。そのときあしがすべってどっしん、おっこちた。ばあさまはいたくていたくて、うーんうーんとうなるばかり。さよはばあさまをさすりさすりうたった。「いたいのいたいのとんでゆけ おやまのおににとんでゆけ」さよがこころをこめてうたうので、ばあさまのいたいのがとんでいった。おやまのずーっとおくのおにのところへ。
「いたい!」おにはあたまをかかえて「いたい!」せなかをおさえて「いたたたたつ!」さいごはおしりにてをあててころげまわった。そこで、おにはどんないたみもつかれもきえるという、ふしぎなふろにはいっていると、またさっきのうたがきこえてきた。おにはおこってさよのいえにきた。さよはおににいった。「ばあさまがしんだらわたしはひとりぼっちになる。ひとりぼっちはいやや。」と。おには自分もひとりぼっちですむさびしさはわかり、じぶんのはいるふしぎなふろにいれてやります。
 ばあさまのけがをなおしてあげる、というお話です。さよの優しい心がおにの心をうごかしたのですね。
 かなり以前に読んだ絵本ですが場面ごとの印象が深く残っていて、はっきりとその時どきの情景が目に浮かびます。年齢を問わず読み聞かせをお勧めします。

だいじょうぶだよ ぞうさん

だいじょうぶだよ ぞうさん
作:ローレンス・ブルギニョン 絵:ヴァレリー・ダール
訳:柳田邦夫 (文溪堂)

 おさないネズミと年老いたゾウは毎日なかよく暮らしていました。
けれどもある日ゾウは「もうすぐ遠いゾウのくにへいって もうもどらない」とネズミにつげます。
 はじめそのことがわからなかったネズミでしたがやがて成長し、ゾウが目も見えなくなり耳も聞こえなくなり、ゾウが病気でやがて命の終わりが近いことを理解できてきます。
ネズミにとっては大好きな大切なともだちとの別れが近づきます。しかしゾウはゾウのくにへ行く途中の橋が壊れていて自分では直せなく、とても心配でした。ネズミは壊れた橋を直すことができました。ネズミが直した橋の中ほどで、ネズミを振り返りながらゾウは去っていきます。
 出会いは楽しいものですが別れはつらいものです。生きるってことはそんな繰り返しですね。
 大好きな友達との別れを受け入れるネズミの心の成長を感動的に描いています。

きいろいのはちょうちょ

きいろいのはちょうちょ
作・絵:五味太郎 (偕成社)

 きいろいのはちょうちょ!とおもって網をかぶせると意外や、花だったり、木の実だったり、風船だったり、失敗をくりかえす男の子のゆかいなおはなし絵本です。
 蝶の形の穴をあけてページをめくる楽しさを一層大きくして工夫した仕掛け絵本です。
 蝶の形をした穴は、めくった左側のページでも別の表現があることに、たぶん子どもは気づきます。気づかなければ教えないで自らの気づきを待つことも楽しみですね。あるいは逆に子どもが気づいているのに読み手のほうが気づかなかったときは「よくわかったね」など感動してあげてください。
 この絵本も初版は1983年で2005年1月では104刷とあり、長く多くの人に読み継がれてきました。

大きくなるっていうことは

大きくなるっていうことは
文:中川ひろたか 絵:村上康成 (童心社)

 大きくなるっていうことは「ようふくがちいさくなるってこと」「あたらしいはがはえてくるってこと」「みずにかおをながくつけられるってこと」「あんまりなかないってこと」などそれぞれのユーモラスな絵は子ども達が実感として感じることができます。
 子ども達にとって「大きくなったね」といわれるほどうれしい言葉はありません。子どもの成長は早くすこし会わないでいると大きくなっていると感じます。子ども達へのお話の中でときどき話しています。大きくなった背の高さや、体の大きさは、だれが見てもすぐわかりますね。でも「心の大きさ」はどうでしょう。「心の大きさ」は外から見てはわかりません。では、心も大きくなっていくことってどういうことでしょう。それはきっと嬉しいことや楽しいことがあった時、いっぱい「ありがとう」と言えるようになることだろうなと。そしてまわりの人にたくさん親切ができて、人がいやがることをあまりしなくなるなど「心を大きく」していくことだと。