子どもにとって絵本はなぜ魅力なのでしょうか。絵本の世界は無限に広がっているからです。子供はあらゆる束縛を嫌いまさに宇宙規模で自由に行動したり考えたりすることができるからです。とくに幼児期は柔軟な感受性や思考力により絵本のお話を素直に自分に取り込んでくれます。ぜひ時間を作って良質の多くの絵本を読み聞かせてあげてください。

おかあさんだいすきだよ  作・絵:みやにしたつや (金の星社)

 この絵本の作者自ら「子どもはお母さんが大好きです。自分のお母さんがどんなにおこりんぼでも」と書いています。でも、ふだん子どもに全くおこらないで接していくことは至難の業です。つい、はやく!はやく!ちゃんとしなさい!いいかげんにしなさい!なんかいいえばわかるの!なにやってるの、だめね!などなど。
 でもこんなことばを言ってしまったあとは、ほとんどのお母さんは「こんなこと言わなければよかった」と心の中ではそう思っていられると思います。それでいいかと思います。お母さんはわが子がなにごとにもしっかりとやっていってほしいと願っていると、おこりことばや叱り言葉になってしまうのです。そんなお母さんの深い愛情を感じさせるすばらしい絵本です。

ぞうくんのさんぽ  作・絵:なかのひろたか レタリング:なかのまさたか (福音館書店)

 ぞうくんがさんぽにでかけると、かばにあい、かばはぞうくんのせなかにのっていっしょにいきますと、つぎにわにくんにあい、わにくんものせてもらいます。かばくんとわにくんをせにのせたぞうくんのページは重量感にあふれて「ぞうくんはちからもちだね」「うんうん、おもいな」といいながら平気であるいていきます。つぎにかめくんにあい、かめくんものります。かめくんがのりますとぞうくんの姿勢が少し前に傾きかけます。そして池にさしかかったところで「いけのなかにおっこちた」「みんなごきげん きょうはいいてんき」でおしまい。「おおきなかぶ」のおはなしでは、ねずみがでてきてかぶが抜けました。ぞうくんのさんぽではかめがのってぞうさんがこけました。大きなものと、小さなもの。力の強いものと、そうでないもの、こどもたちにお話のユーモアを伝えているようです。
 年少、年中の園児はとても興味をもって見ていました。給食後になんども読んであげています。

むしたちのうんどうかい  文:得田之久 絵:久住卓也 (こどものひろば)

 漫画的に描かれた虫の絵が園児には受け入れやすいのか表紙をめくると表紙の絵をもっと見たいという子が多かった。むしたちの動きが躍動的に描かれていて関心を示しました。たまたま運動会の練習を重ねている時で自らをむしたちの姿に重ねていたのかもしれません。中ほどのページの休憩時間のおんぶバッタとカマキリの絵が注目です。次のページでも同じくおんぶバッタとカマキリの絵がとても印象的です。3,4,5歳のどの年齢でも興味を持って見てくれると思います。秋の夜長をお子さんと至福の時間をお楽しみください。

とんとんとん  作・絵:あきやまただし (金の星社)

 入園して2週目の給食が始まって5日目、3歳児の部屋へ園長がこの絵本を1冊持って出向き一緒に食事後読んであげました。クラスの半数の7名がかなりの集中力で聞いて、見てくれました。しかも3回読まされました。
女の子がかずきくんからおてがみをもらい、かずきくんのおうちをたずねます。
「とんとんとん かずきくーん。」 ことばのリズム感がとても快いですね。
そして、順にたずねる家のドアーの色が緑、茶、ピンク、水色、オレンジ、黄色の6食ですがかずきくんの家は黄色です。1回目読み終わった後で、かずき君のドアーの色はと聞いたら全員が覚えていました。ほかの色のドアーの住人はよくは覚えていませんでしたが3回目に読んだ後はほとんど全部覚えていました。記憶力の云々でなく、それだけ注目して絵やお話を聞いているということがわかります。絵やお話はそれぞれ好みがありますが、楽しく絵本に親しめるという点でこの絵本をご紹介しました。

おたまじゃくしの101ちゃん  かこさとし (偕成社)

たいへんよく読まれていまして,第1刷が1973年1月で私の手元にあるのが2008年4月160刷、その間、実に35年読み続けられてきました。子供の時に読んだことのある方も多いかと思います。
この絵本も以前、園児に読んでいます.年少から年長児までどの年齢の子供たちも喜んでいました。絵本でのおかあさんと子供たちの会話は35年を経ても今の親子の会話と変わりません。親子の情愛の関係は今も昔も変わることはないものです。中でも子供のためには命をも投げ出す母親の深い愛情を示したところ「おねがいです。ぼうやをみつけて ぶじにうちにかえすことができたら、わたしはどうなってもけっこうです」は、子供たち、どんな気持ちでよみとるのでしょうか。とくにいちべい沼の大事件のところでは年長児が興味を持ちました。でも迷子になった101ちゃんが無事にみんなのところに帰れた時にはほっとした様子が見られました。
話の内容、絵本の中での言葉、ともに幼児へ語りかけるのに最適のものばかりです。

たあくん  文:間所ひさこ 絵:長谷川知子 (偕成社)

「かだんの おはな ちぎったのは だれですか」「たあくんです」
「まみちゃんに すなをかけたのは」「たあくんです」
「うさぎこやから ウサギをにがしたのは」「たあくんです」
絵本の中から、まるで子どもの声がきこえてきそうな、そんな感じのする元気な絵本です。園では年齢に関係なく面白がってくれました。
たあくんの、つよい個性が豊かに表現されていて、お子さんとの会話がはずみます。
いたずらが大好きで、少し乱暴でむてっぽうではあるが勇気があり、それでいて雨の日に女の子に自分の傘を貸してあげ自分はぬれて帰り、あげくのはて風邪を引いて学校を休む、という優しい心をもった「たあくん」。
この絵本で「たあくん」とであった子どもたちはお母さんとどんなお話しをしたのか聞いてみたくなります。「たあくん」のことどう思ったのって。

絵本の読み聞かせが子どもにとってよいという理由のひとつに、幼児期の子どもの夢や希望の世界が広がるということがあります。私たちはふだん、あわただしく過ごすことが多いものです。何か大切なものを忘れてはいないか、いつも心のかたすみに強迫観念みたいに存在するのを感じていられる方も多いのではないかと思います。読書や絵本読みはそういった不安を少しでも取り除いてくれるのではないでしょうか。
あわただしい毎日の締めくくりに親子で1冊の絵本をじっくり楽しんで心の栄養を取り込み、今日を感謝し、ゆっくりお休みください。

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